歯科の一元論、二元論という論争がありました。歯科医は医師なのか? 医師ではないのか? 歯科医とは何か? そういうアイデンティテイのような議論でした。

日本の歯科医学は米国式の実践的な歯科医療、つまり、充填し、義歯を作るという医学的な知識がなくてもいいような技術の修得に主体が置かれていたのです。

そのため、日本の一般国民は、歯科医は技術者であると考える風潮がありました。

また、偏差値に基づく評価から、医学部が上で、歯学部が下だという考え方が日本にはあります。しかしながら、この評価は、必ずしも、他国では通じません。

そもそも、歯科医師制度がある国の人類の数は、地球上の人類の半数くらいです。医師免許で歯科医療をしている国はいくらでもあるのです。

「歯学」と「歯科学」、 「法歯学」と「歯科法医学」

「歯学」という場合には、それに対する言葉は「医学」です。
歯科医師と医師とは、ことなるものだという二元論。

「歯科学」という場合には、医学の中の歯科という診療科を意味します。
つまり、一元論です。

現代の歯科医療は、薬理学の知識、内科学の知識なくして日常診療を行えない状況になっています。なぜなら、歯周病と糖尿病との密接な関連性があります。高血圧症の人たちの歯科治療、そういう場面で、内科学の知識なくして歯科診療は行えないのです。

一元論、二元論、懐かしい時代の議論です。