欧米には、Oral Medicineという診療科があります。邦訳は口腔内科です。

この診療科は、日本では、いくつかの私立歯学部の中に、「オーラル・メディシン」、もしくは「口腔内科」として、院内標榜をしている大学があります。

一般的には知られていません。歯科医でも、そんな名前を聞いたことがない人はいると思います。私も、7年前の1999年まで、Oral Medicineの存在を知りませんでした。

私は、欧米にはOral Medicineという講座があり、非常に盛んだと聞いて、行ってみたくなり、ロンドン大学のイーストマン歯学研究所のOral Medicineへ出張したのです。

口腔に発症する疾患は多数あります。歯科医が取り組む疾患は、虫歯、歯周病、口内炎だけではないのです。

外科的な処置を必要としない口腔疾患を診断し、治療するのがOral Medicineです。日本では、口腔外科が、こうした疾患の治療に従事しています。しかし、外科であるがために、不必要な外科処置を行うことがあります。

Oral Medicineの本の中に、“Prevent unnecessary surgery”という表現がでてきます。
「必要のない外科処置をやめよう!」 という意味です。

診断が主たる業務である地味な診療であるため、日本では、まだまだ普及しない診療科と思います。