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(1)面談の予約をとる 弁護士に電話すると、時効まで、もう2ヶ月もないと言われた。事情は精神科医から概略聞いておられるようで、時間をとりますから、話を聞きましょう。長くなると思いますので、そのつもりで来てくださいと。どのくらいかかりますかと聞くと、訴状を作成するのですから、数時間はかかりますと言われた。 だが、今にして思うと、話の進行が随分早かった。その理由の一つが、私への両親と本人の全面的信頼にあったと思う。私は「全権」を委任された状態だった。本人にも両親にも、事後承諾の形で弁護士に、訴訟着手を依頼していた。 実際、弁護士に会った時、着手金の話になって「先生が支払われるのですか」と聞かれて、いえ親が出すと思います、という会話があった。 |
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(2)民事訴訟についての説明 夕方4時頃に弁護士事務所を訪れた。弁護士は、以前、検事をされていたと聞いたことがあったように思う。 話を概略聞いて、弁護士は、「これは警察は動かないでしょうね」と、まず言われた。「警察が動いてくれると、その捜査資料が民事訴訟にも使えるから楽なんですけどね。まあ逮捕されているから、その時の資料を開示請求しましょう。逮捕の日時と相手の女性の名前はわかりますか。それでは、裁判が始まってから取り寄せましょう」。 民事訴訟は、越えるハードルの高さが低いという話もされた。刑事訴訟では、「何月何日何時」を要求されるが、民事では「何月中旬」という表現でもいい。 民事訴訟では、法廷で加害者と対峙しなくて済むという話もされた。民事訴訟は、「準備書面」という文書のやりとりで経過して、争点を明らかにしていく。それから証拠調べになり、被告、原告、双方の出廷は原則的に1回だけ。双方が顔を合わせなくて済むように、被告、原告の出廷日を別にすることができると言われた。 傍聴人のことも聞いた。「裁判に来ているのは、関係者だけですよ。みんなそんな暇じゃない」。事実、その通りだった。「原告のことをできるだけ、知られないようにするために、他の町の親戚の住所にして、訴状をだすこともできますけど、どうします」とも言われた。 「ところで、その男はお金は持っているのですか。賠償金が支払えない人を相手に民事訴訟を起しても仕方ありません」。これも意外な話だった。 |
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(3)民事訴訟の訴訟経費 訴訟経費について率直に聞いた。弁護士は、「強姦では200万円が損害賠償金額の相場です。二人によって輪姦された場合は、200万円_2=400万円となります。配偶者の不倫による離婚で300万円。この場合、500万円か1000万円でしょう。どっちにします。まあ、ごろ合わせみたいなもので、どちらでもいいのです」と言われた。私は、即座に1000万円にしましょう。2000万円は無理ですか、と聞くと、「2000万円は死亡に対する賠償額になりますから高すぎます」と言われた。自分で払うわけでもないのに、よく言うよと、内心少し気にしていた。 |
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(4)訴状作成 訴訟を起すという話がついて、Aさんから事情聴取が始まった。私はそばで聞いていて、はらはらした。Aさんがトイレに立ったすきに、「弁護士、ちょっと、質問がきつくありません。なんか、話が核心的で、どきどきしてしまいます」とお願いした。「あ、そうかもしれません。先生たちが死体を見ても、どうにも思わないように、私達は強姦とか聞きなれているので、そういう聞き方になるかもしれません」。 でも、はっきり聞かなきゃ、訴状は書けない。弁護士の質問は、私とは視点が異なっていて、私が聞いていない話が、次々に出てきた。そんなこともあったのかと、驚くことばかりだった。Aさんは、進学高校で優秀な成績で20番前後にいたのに、大学進学まで諦めさせられていた。あの男と関係ができてからは、クラスの子が別世界の人間に思えた。勉強など手に付かない状態だった。成績もどんどん落ちた、と言った。 何時間もかかっているのに、まだ、出だしの頃の話だった。これは今夜は終わらないかもしれないと心配になって、いつ頃終わりそうですか、と訊ねると、「もう少しです。最初の2、3回が問題なんです。後は、長く続いても因果の流れというものです」。「因果の流れ」というものか、と変に感心した。 弁護士は、事情を聞きながら、ワープロしている。だいたい終わりました。そう言って、プリンターに訴状原案を打ち出された。これでいいでしょう。明日、細かいところを書き直して、郵送します。もう一度チェックしてください。それで裁判所に出しましょう。午後10時を過ぎていた。 |
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